書籍詳細情報
雛菊書房の異書奇譚
ニッチな本が欲しければ、あの街の雛菊書房に行け。新しい刺激が欲しければ、店長に声をかけろ。 但し、彼女に声をかけたが最後、何に巻き込まれるかは――自己責任だ
とある街の中心地にある本屋、「雛菊書房」。
その本屋は、日々、老若男女、様々な人が来る、どこにでもあるような普通の街の本屋である。
――店長の「結月ゆかり」の元に集まってくる、謎の本を除いては。
この本屋は、その手のマニアの中では、秘密裏にこう囁かれている。
『ニッチな本が欲しければ、あの街の雛菊書房に行け。新しい刺激が欲しければ、店長に声をかけろ。但し、彼女に声をかけたが最後、何に巻き込まれるかは――自己責任だ』
この本屋に魅せられた一人であるすずきつづみは、今日もふらりとこの本屋に脚を踏み入れる。新しい本との出会い、もしくは泣きそうな顔をした親友のさとうささらの手伝いの為に。
本屋の入口に立つと、多少年季の入ったガラス戸の自動ドアが駆動音を鳴らしながら開く。店内に脚を踏み入れれば、カウンターで寛いでいるこの本屋の『主』と目が合う。
「ああ、鈴木さん、こんにちは、いらっしゃいませ。ちょうど良かったです。たった今、面白い本を入荷したんですよ」
その一言から、今日も物語が始まる。